ああ、ああ、ああ。

なんなんだろう。


なんだってこんなに、藤野は、僕のツボを心得ているのだろう。


十中八九無意識だろうが、それでも、なんて、蜃気楼のように不確かで、僕の視界を掠めるまやかしのような彼女は、こんなにも着実に、僕の心を埋め尽くしていくのだろうか、不思議でならない。


ねぇ藤野。


僕ね、君が好きだよ。



好き。



伝わらないからこそ、意地でも伝えたくなる。