いらいら、いらいら、いらいら。 瀬木と笑い合う藤野が、腹立たしくて泣きそうだ。 いらいら、いらいら、いらいら。 どうせ僕になんか気付きもしないんだろう。そうやって瀬木しか視界に入っていないんだろう。 しかしやっぱり気づいてほしかったので、歩調は心なしかゆったりと、けれど確実に藤野と瀬木を通り過ぎた。 なんで、なん、で……。 あの時の僕が、瀬木のように大人だったなら、君の視界に、僅かでも食い込むことができたのかな。