「覚悟なんて、昔からなのにな」
「……わかってるよ」



本当は、わかってるんだ。

藤野が、僕らを思う気持ちは、友人のそれであると、理解、していたんだ。頭の片隅で、認めてしまっていたんだ。


僕たちといるとき、果たして藤野はあんな風に、女の顔で笑ってくれるのだろうか。


血液中を、マグマが通過しているのではないかと考えてしまうほどに、喉が焼けただれる感覚が視神経を揺るがす。


いつものことなのに。


藤野が瀬木を想い頬を赤らめるのなんて、既に見慣れた光景だったはずなのに。


わかって、いるのに。


僕が藤野の気を引こうとやっていることは小学生以下だというのに。