「……っ」


思わず、足を止めた。


地面から離れたくないと喚いて駄々をコネる足を叱咤するがどうも動きそうにない。


「おい加藤、急に止ま」


この時の原田は、決して『急にトマト』と言いたかった訳ではなく、多分僕の視界と同じものを捉え言葉に詰まったのだと思う。


数百メートル先にそびえる学校の門前に、藤野がいた。


藤野と、瀬木がいて、藤野が、とてつもなく幸せそうに、笑っていた。