「そうだけど!そうなんだけど!でもなんで急になの!?意味わからん!先週まで普通だったのにさ!」
「うん、まぁ、でも俺は、加藤の気持ち、わからんでもないぞ」
「な、崎山も私の文房具壊す気なの!?」
思わず数歩離れると、崎山は慌てて訂正してきた。
「そうじゃなくて!多分、加藤の狙いは、お前が瀬木先生から貰ったとかいうシャーペンだったんじゃないか?」
「……は?なんで、」
「うん、うーん、まぁ、俺が加藤でも多分同じことするしな」
「はぁっ!?」
意味が分からないと言えば、崎山は困ったように笑って、「とにかく、壊されたくないんだったら貸さなきゃいいんじゃないか」と、正当で真っ当な意見を述べてきた。
まったくもってその通りなのだけど、それが出来れば苦労はしない。
呆れたように笑う崎山は、私がそれをできないのだということを、わかっていて言っているようだった。
「藤野はもう少し視野を広げることだな」
意味のわからない崎山の言葉を、私は聞かなかったことにした。