――――その頃、日本では。
「な…なんて?もう一回言ってください!」
身を乗り出して、珍しく厳しい目を向けた柚ちゃんに思わずたじろいだ。
ちょっと待て。
なんかオレが悪いみたいじゃねーか。これ。
「いや、だから……ちょっと。落ち着いて」
「これが落ち着いてられますか?日向を探しに行ったって、どういう…」
厳しい表情でも、やっぱりあどけなさが抜けない顔。
柚ちゃんは大きな瞳で瞬きを繰り返した。
そして少し心を落ち着けるように、深呼吸する。
――真昼の喫茶店。
急に黙り込んで向かい合ったオレたちの間に、コーヒーが差し出された。
「ホットコーヒーでございます」
美人ウェイトレスさんが笑顔を見せてくれたから和んだ。
…少なくとも、オレは。