その答えが出た時、もう迷いはなかった。



「…よしっ…」


自然に笑顔になっていた。
駆け足で、改札をくぐり抜けて電車に飛び乗る。

後ろを振り向く余裕もなかった。





兄貴がやきもきしながら空港で待っているはずだった。

親父がいらいらしながら家で待っているはずだった。


彩はきっとノートのコピーの代わりにたくさんのお説教を降らせてくるだろうし

相変わらずK大への道は厳しいだろうし

俺は相変わらず悩み続けるんだと思う。





――でもさ、
それも悪くないよね。

不思議とそう思える自分がいた。



だって俺にはやりたいことがたくさんある。



…ひとまずはまた、進路変更を告げて親父に怒られるところから始めなきゃなんないけど。