拓巳部長。
日向先輩。
柚マネージャー。
この三人は俺にとって、本当にかけがえのない存在になった。
そして綺麗に光り輝いて、無くなってしまった。
あの夏の終わり。
――日向先輩は、いなくなった。
「…大地くん、日向のこと大好きだったもんね」
柚先輩の言葉に顔を上げた。
優しい目と、柔らかい笑みが俺を捉えた。
…日向。
柚先輩はとても大切そうに、その名前を口にする。
俺もこんなふうに愛されてみたい、とか思ったりする。
すべてが愛に似てる。
いや、すべてが愛なんだ。
そう感じる。
いつでもその優しい目は、日向先輩の走る姿を見つめていた。
最後の一瞬まで。
「…日向先輩は、気まぐれでしたから」
俺も微笑んだ。
「いつかふらりと、帰ってきますよ」