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…優しい風が、あの世界の中心に吹いていた。







『走り続けてください』


あの人はそう言い放った。
なんの迷いもない…まっすぐな瞳で。


誰もが見ていた。
誰もが耳を傾けていた。

瞬きさえ忘れた。




『…皆が走る姿は、俺の希望です』



もう以前と同じように走ることが出来ない足を抱えて。
本当に叶えたかった夢を胸に秘めて。


そんなことを微塵も感じさせない笑顔で、前を向いていた。



拍手に包まれながら静かに台を降りる姿を見て…胸が痛かった。