窓から見える満月の光は、いつまでも優しく夜空を照らしていた。
「今年はもう春は終わっちゃったから、来年花見でもいこうか。」
そうだよね、
私たちが知り合ってすぐには
もう桜は散っちゃってた。
慎吾の言葉に
来年もまだこうしていられるのかなって
期待が胸に広がった。
『そだね。』
あの写真のことを思い出した。
桜咲く、卒業式の写真。
今よりまだ少し幼い慎吾の隣には
私にそっくりな女性が写っていた。
聞きたい
でも聞いたら、
今さっき慎吾がくれた言葉もキスも
なかったことにされてしまいそうで
聞けない。
私は不安を隠した。
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