「どーも。」
その人は小さい声でそう言って少しだけ私と目を合わせると
自分の部屋に入っていった。
彼は傘を持っていなかったみたいで、
急に降り出した雨に
肩や髪が少し濡れていた。
それにしても
すごい…………イケメンだった。
まさか隣にあんなかっこいい人が住んでるなんて、
気ぬけないな。
茶色い前髪がかかりそうでかからない瞳は
すごく透き通っていた。
薄っぺらい紙が挟まれただけの表札には
‘若草’ と書かれていた。
若草くんかぁ………
私はなんとなくその名前を頭に入れて
ゴミ袋を出しに行った。
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