『それで、二人は別れちゃったの…?』
「まだ、お互い好きだったんだと思う。
先生にだって情はあっただろうし、慎吾はかなりひきずってた。
それからしばらくして
中学ん時の仲間で集まったときに
香織先生が結婚したって聞いた。
相手は、前に働いていた学校の同僚の先生らしい。
慎吾は平然を装ってたみたいだけど…俺にはショックを受けてるようにしか見えなかった。
連絡はもうとってなかったみたいだし、
それから香織先生の話はしなくなったから…。」
『…そう……なんだ………だけど、ヒドいよ…。
いくらなんでも慎吾が可哀想じゃない?』
私はまた涙がこみあげてくるのを耐えた。
「でも………仕方ねーんじゃね…?
大人と付き合うって、そういうことなんだって俺は思ったよ。」
確かに
そうかもしれない。
だけど、今の慎吾から
そんな
誰かに夢中になる姿や
手放したくないと束縛する姿
落ち込む姿
どれも想像できなくて、
想像したとしても
まだ中学のときの幼い慎吾が浮かんで、
とにかく必死だったんだって思うと
可哀想で
どうしようもない気持ちになった。
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