由樹とオレは幼なじみ。だから、何でも言える仲。でも、そのせいか意見が対立することもしばしば。


「オレは歌って踊るだけがエンターテイメントとは思わない」


『違うね。チームで歌って踊る、それがエンターテイメント。………あっそっか、お前チームで歌ってないもんな』
つい、イヤミっぽく言ってしまう。
ただ、素直になれないだけなのに……………


「…オレは小さい頃から歌手になりたかった。最高のエンターテイメントを作る歌手に」






「あ〜ぁ、また始まったよ」
オレ達の言い争いに呆れたのかメンバーの来武(らいむ)がつぶやく。


「最近、そんなことばっか言い争ってない?」
今度は来武の弟の檸檬(れもん)が言う。来武と檸檬は双子の兄弟だ。残りのメンバーの颯人、唯斗(ゆいと)、オレの相棒の宏(ひろ)まで頷いている。



「お前達、まだそんな事言ってんの?」
どこからか落ち着いた声が聞こえた。



「『神谷(かみや)さん!!』」
声の主は今回オレらの振り付けを担当してくれる神谷さんだった。



「舞台はそこまで迫ってるんだぞ」
オレを見る。





『とにかく、オレは由樹が考えを変えない限り一緒にやる気ないですから』