「え?!何で泣いて‥」


明らかにパニくる緒方くん。



「な、なんでもないよ!」


精一杯の明るい声色。

精一杯の明るい笑顔。

精一杯の空元気。





ふわっ


突然のあったかい感覚。



「え‥‥‥‥?」




あたし、緒方くんに

抱きしめられてるの‥?



「‥‥‥‥なよ。」



「え?」


聞こえないフリしたけど

ぼそっと呟いた緒方くんの言葉

聞こえない訳がなかった。



“俺にしなよ”って。