甘々な俺様と2人きり

「輝達〜。空港見えてきたぞー」


そう言われて外を見ると、
飛行機が飛び立つ所が見えた。


あそこに正樹がいる…。


間に合うか…


私の頭の中はそれでいっぱいだった。




「行くぞ美咲っ」

空港の近くまで来て、車から降りる。


「ちょっと聞いてみるか…」

そう言って、空港の人に聞く。


私は輝が聞いているのをじっと待つ。

そして輝が戻ってきた。


「福岡行きは後10分くらいらしい…早く探すぞっ」

輝の手を握り、頑張って搭乗入り口まで探した。





「あれだっ」


そう言ってむかった。


でも、そこの周りには人がいなかった。


「あれ…」


飛行機がちょうど動く所だった。


「うそ…」

間に合わなかった…。


私は床に座りこんでしまった…。


輝は私の頭を撫でてくれた。


正樹にお別れの挨拶くらい伝えたかったよ…。

バカ…






「美咲?」








「「え…?」」


今のは輝が呼んだのではない。


となると…


私達は後ろを振り向いた。


「正樹…」
「高瀬…」





「何そんな顔してんの?」

正樹がいる…?


「いやっそんな顔してんの?
じゃねぇだろ?!お前、何勝手に行こうとしてんだよっ」

あれ?何これ…

手でそれを拭う。


「ごめんごめんっ俺も別れとかつらいし…」


これって…


「そうだけどよ…」


私は自然と涙がでてしまった…。


「みさ…美咲!?」





「美咲?」


輝がもう1度私を呼んだ。

「あっごめ…」

私は頑張って涙を止めた。

「高橋…ちょっとせき外してもらえない?」


「…分かった。じゃあちょっくらこのへん見てるから」


そう言って輝はどこかへ行った。




……沈黙。


「あのさっ…」

正樹が先に言った。


「うん?」


「美咲…高橋に伝えた?好きだって」


「そっそんな事言えないよ…」


「ちゃんと言えよっ俺を振ったんだから」


そう言って笑う。

何で笑ってられるの?


「何で…何でまた福岡に戻っちゃうの?」





「…俺、ほんとは向こうの学校辞めてないんだ」


「え?」


「俺は2週間だけ休みもらって、美咲んとこ来たんだ」


「何で?」


「何でだろうな…美咲が恋しくなったから!な〜んてな」


「正樹…」


「何?」


そう言って優しく微笑む。





「私…ほんとに正樹が好きだった…ッ言葉じゃ…表せられないくらい…ッ」


「うん…」


「正樹が苦しんでた事も…ッ
知らなかったし…ッ私…すっごいさい…」


〝最低〟と言おうとしたら、
正樹が私を抱きしめた。