もしかしたら修復不可能かもしれない。



これは一か八かの賭けだと思う。



失ってからじゃ遅いってのはわかってるつもりだけど…。



でもあたし、今の気持ちでいていいとは思えないんだもん…。



次の日、虎宇を家に呼んで向かい合って座った。



「別れよう、虎宇」

「意味がわからないね。そんな話なら帰るよ」

「真剣に言ってるんだけど」

「ふざけてるの間違いでしょ」

「あたし、本気だよ。今のまま虎宇に甘えてるのもイヤなの」



置いておいたコーヒーを一気に飲み干した虎宇はそのまま立ち上がった。



こんなんじゃ話しにならないじゃん!!



「虎宇!!」

「なに?」

「あたしは本気だよ…。あたし達このままでいいと思う?」

「愚問だよ、アスカ。でもアスカが別れたいならそうしな。俺はアスカのこと手放す気ないから」

「カギ…置いてって…」

「はい、機嫌直ったら電話しておいで」



顔色も変えず、虎宇は合い鍵を置いて帰った。