お風呂にも入らず、パソコンに向き合うこと数時間、お腹も減ってるんじゃないかと思うけど、今の虎宇は話しかけても反応しないだろう。



だからひとりで布団に入り、虎宇の背中を見つめてから目を閉じた。



夢なのか、現実なのかはわからない。



時折虎宇の声が聞こえた気がした。



アラームで目が覚めた時、最初に見たものは寝る前と同じ虎宇の後ろ姿。



完璧徹夜だ…。



そしてたぶん、その場から動いていない。



それほど虎宇の集中力は高いということ。



「虎宇?あたしバイト行くからね?」



返事は返って来なかった。



着替えて食パンを食べて。



水分だけは取らせようと缶コーヒーを虎宇の前に置いて部屋を出た。



向かった先はあたしのバイト先。



付き合った時に虎宇が紹介してくれた飲食店。



どうやらここの社長さんと知り合いらしい。



「おはようございま~す」

「おはよう」



虎宇は学校にも行かないんだろうな…。