そんな日常の春の出来事。



いつものように虎宇が家に泊まっていた。



夜中に鳴り響く電話。



「誰だよ…」



不機嫌な顔で起きた虎宇が電話をとった。



『虎宇…助けて虎宇っ!!雷さんが死んじゃうっ!!ヤダヤダヤダ…ヤダっ…』



一瞬にして目が覚めた。



留宇からだ…。



「どうした!?まず落ち着きな!?」

「雷さんっいっぱい血が…起きないっ!!」

「血がどうしたの?吐いたの?出たの?」

「吐いたっ…」

「救急車呼んだ?」



雷さんが血を吐いた?



死んじゃう…?



ウソだ…ウソだ…ウソだ…。



そんなの…絶対ヤダよっ!!



「今の聞こえてたよな?俺、留宇から電話来たら病院行く」

「雷さんっ…ヤダっ…」

「大丈夫。とにかく俺は行くけど、症状わかったら電話するから」



頷くことしかできなくて、留宇から電話が来て虎宇が出て行った。



不安で眠ることなんてできない。



雷さんに拾われなきゃ、あたしは虎宇と出会えてないんだから…。