あたしもあたしで孤独だったから虎宇との時間は掛け替えのないモノ。



たとえ彼氏が気分屋でも、たとえシスコンでも。



あたしは虎宇が大好きだ。



「虎宇、電話鳴ってるよ」

「ん~…。あっ、ちょっと…」



寝そうだった虎宇が起き上がり、ケータイ片手にトイレ。



浮気を疑うなんてしない。



虎宇は女が嫌いだから。



「虎宇です。うわぁ~、それいいですね!!行きましょう!!」



ほらね?



トイレから聞こえる声は虎宇の仕事関係。



内容は知らないけど、虎宇の仕事は人付き合いだと言っていた。



「俺それ大好き!!すごいですね、社長!!うん、頑張ってくださいね~」



高い声で甘えてるようにも聞こえる。



虎宇の世渡り上手は元から持ってるものかも。



取り入る、懐に入る、懐く、甘える。



虎宇の電話はいつもそう。



「目ぇ…覚めちゃった」

「そうなの?あたし寝るけど」

「寝たらダメ。今から俺が食ってやるから」



食われちゃうね、コレ。