行こうとしてた映画をやめ、家に帰った。



朝に出たままになってるあたしの部屋。



落ちてる服を拾い上げた虎宇が洗濯機に服を放り込んだ。



デートしたかったのに…。



「アスカ、一緒に寝る…」

「虎宇…?」

「早く寝て…」

「もしかして何かあった?」



無言でベッドに横になった虎宇の隣に寝て抱きしめた。



きっと何かあったんだ。



虎宇がこうやって甘えて来ることは珍しいから。



「また親?」

「ん~、離婚するらしい」

「そうなんだ。別に驚かない」

「仲悪かったから…」

「それで虎宇がヘコんでるとは思えないけど?」

「留宇がアメリカ行くかもしれない…。俺、留宇がいなくなったら…新島で生きて来た意味がない…」



妹の存在を知ったのが最近のこと。



虎宇の双子の妹、留宇(ルウ)の存在を仲のいい友達にも教えていなかった。



それは妹を守るため。



お金持ちの家のお嬢様を狙うのは、逆玉目当てだったり、留宇を利用しようとしたりする人間。