「秦野くん、見ててくれてた?」
「……ん。すげーかっこよかった」
「ほんとー? ありがとう!」
ぱぁっと明るい顔になって、俺を見上げる藤沢。
その顔を見たら、俺の頭の中も何だかぱぁっと、
白くなって。
俺の手が、無意識のうちに伸びて、
藤沢の頭をわしゃわしゃってしようとして、
指先が、藤沢の髪に触れた時。
「う、っひ、ひゃー」
悲鳴とも何ともつかない小さな声が藤沢の唇から漏れ、
次の瞬間、俺が見たのは、
俺の腹にキマってる、
藤沢の、拳。
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