えっとね、
無口だけど、でもいざという時はちゃんと助けてくれる、
お姫さま抱っことかしてくれそうなくらい頼りがいのある……

そこまで考えて、思わず私は立ち止まってしまった。


――わたしが、さっき、自転車でいっしょに帰ってきた人は、まさに、そうなのでは。


さっきホームで、私に穏やかに微笑みかけてくれてた、
電車が走り出してから、小さく右手を上げてくれた、


――秦野くん。


急いで千里に、電話をかける。
千里はすぐに出てくれた。