駅に着いた。
「ありがとう」
自転車の後ろからとんっ、と降りて、秦野くんにお礼を言う。
「どういたしまして」
秦野くんはそう言いながら、自転車を降りてスタンドを立てて、荷物を取り出す。
「ホームまで送る。電車が来るまで、荷物持っててやるよ」
「何から何まで、申し訳ないです」
何だかもう、普段こんなに親切にされたりしないので、どうにも落ち着かない。
ひと駅分の切符を買って、荷物を持ってもらったままホームまで行った。
電車は5分ほどで来るようだった。
切符を指の間でくるくる回しながら、私は手元に視線を落としたまま、秦野くんの隣に立っていた。
……このまま黙ってたら気まずい感じがしちゃうかな。
何か言わないと。