疲れてると言われるとそうかもしれない。
お言葉に甘えて、乗せてもらうことに決めた。
「じゃあ、失礼します……」
左向きに、千里がしてたみたいに、横座りになって。
「落ちたら危ないから、ちゃんとつかまってもらえるとありがたい」
「……こうでいい?」
右手で、秦野くんのワイシャツの右脇辺りを握る。
「いや、危ないからさ、」
不意にその右手を掴まれて、
秦野くんの身体の前までぐいっと引っ張られる。
「ここ持ってて、この方が安定するから」
そのまま、ワイシャツの前立てのところを握らされた。
「じゃあ、駅まで行くね」