10分ほど歩いたところで、まず秦野くんの家に寄ることになった。
秦野くんだけ、一度家にかばんを置いてくるとのことだった。
自分で鍵を開けているところを見ると、まだおうちの方は帰ってないみたい。
少ししてから秦野くんが、自転車を押しながら出てきた。
「俺、自転車出すから、荷物載せていいよ」
「おー、康太って優しいね~」
すかさず進藤くんが自転車の前カゴにかばんを入れようとする。
「誰がお前の荷物持つって言ったよ? 女子に言ったんだよ」
「うはは、判っててやりました」
「ったく。はい、萩野さんも藤沢も、かばん載っけて」
私は千里と一緒に、秦野くんにお礼を言って自転車に荷物を載せてもらった。