俺は、秦野康太。
バレーに青春賭けてる、高校2年生。16歳。

母につまんないって言われるとおり、自分でも無口な方だと思う。
でもにこやかにとか愛想よくとかって、なんか不自然になってしまう。
どう考えても、俺にはムリだ。

食べ終えてさっさと身支度を終えて階段を駆け上がり、自室から荷物を持って階段を駆け下り。

「ってきやーっす」

「いってきます、でしょう? まったくもぅ」

「いってきまっすっ」

「はい、いってらっしゃい。 ……あーあ、サッちゃんとこが羨ましい。かわいい女の子3人よー、それにねぇ」

俺は終わらない話を聞き流しつつ、逃げるように家を出た。


――これさえなかったら、いいんだけどなぁ。


俺は電車に間に合うように、少し早足で歩き出した。

(プロローグ終わり)