ものの5分としないうちに、メールが届いた。
『すっっごく助かる!!
明日にでもお借りしたいんだけど、
お願いしてもらえるかなぁ?
-藤沢 茜』
電話の向こうで、まん丸の瞳でうるうるとこっちを見つめながら、懸命にお願いしている藤沢が見えてくるような文面だ。
ほほえましい気持ちになりながら、祐一に電話をかけて、学ランを借りる算段をつけた。
そして更に返信を送る。
『進藤に、明日の帰りに借りられるように、
話をつけておきました。
詳しくは明日また学校で決めよう。
-秦野康太』
――明日、楽しみだなー。
翌日には祐一の企みに乗せられてしまうのであるが。
俺は鼻歌まじりで、この幸せな時間を楽しんでいたのだった。