私、藤沢茜。
16歳の、高校二年生。
そりゃあ、私だってもう年頃だし、カレシのひとりもいたらいいとか思うけど。
周りの男子って、なんかチャラい奴ばっかりなんだもん。
理想と言えば、やっぱりこう、……
たくましくって無口なんだけど、
いざという時はちゃんと助けてくれて。
「大丈夫か、茜」……なぁんて、
お姫さま抱っこなんかされたりして。
「アンタはまた、にへにへして……時間大丈夫なんだろうね?」
……はっ。つい空想の世界にトリップを。
って、あーっ。
もう食べてる時間、ないっ!
「あぁもう、いってきますっ!」
「はいはい、気を付けてねー、いってらっしゃい」
私は玄関にまとめてあった荷物を抱えて、駅までの道を駆け出していった。