「どうしたの?」 私が聞くと、秦野くんはケータイを閉じながら言った。 「……先、行ってて、って」 えっ、また? また二人きり……? 「そ、……うん、そか、んじゃ、行こう?」 答えた私の声は、うわずってて。 「この駅からの行き方わかんないから、秦野くんについてく」 「……お、おぅ。任せてっ。ついてきて」 歩き出した秦野くんの後に、私も続いた。 「よ、よろしくねっ」