「……ほんと?」
ほとんど口の動きだけでしか判らないような、秦野くんのかすれた声。
それに応えて、私は小さくうなずき返した。
「ありがと、っていうか……何て言ったらいいんだろ、
私のこと、ちゃんと知ってて、判ってくれてて、
その上でそんなこと言ってくれる人、秦野くん以外にいないと思う。
だから、……ありがと」
うなずいてくれたけど、でもまだ何か言いたそうな、秦野くんの表情がそこにある。
急に気恥ずかしさが募って、私は下を向いてしまった。
冷え切った空気の中で、ほっぺだけが熱くなってくるのが判る。
「ふっ藤沢は」
秦野くんの声に、思わず身構える。
「藤沢は、どう、なのかな……俺の、こと」
秦野くんのことを、私は、……?
――この気持ちは、どう、伝えたらいいんだろ……。