そんな秦野くんを見たら、胸が苦しくて、泣きたくなるような、変な気持ちになった。
秦野くんの発した言葉が、頭じゃなくて心に届いてるみたいな、そんな感じ。
唇が何だか震えてしまって、返事ができない。
まるで舞台の上で、あがってしまっている時のようだ。
――ああ、そうか、ものすごくドキドキしてるんだ、だからあがってる時みたい、なんて考えちゃうんだ。
この不思議な気持ちに理由を付けて納得したくて、私の頭の中は迷走している。
だって、こんな風になったの、初めて。
――これが、誰かを「好き」っていう感じ、なのかも。