送信してから、後悔の念が湧き上がってくる。
なんだこいつ、って思われてるかも。
そもそも「戻れなくなる」って状態って、怪しいよね。
やっぱり独りで頑張って帰ればよかった。
泣きたくなってきたその時、握り締めていたケータイが鳴った。
秦野くんからだ。
意を決して、電話に出る。
「……もしもし」
「藤沢?今、そこまで行くから、そのまま動かないで待ってて」
「うん、待ってる。ごめんね」
「じゃ、後でな」
通話が終わったケータイの液晶画面が、まだ明るく光っている。
秦野くんがつけて残してくれた灯り、って考えたら、その明るさが頼もしく思えた。
……なんだこいつ、とかは思われなくて済んだのかも。
わざわざ電話、かけてくれたし。
来てくれる、って、待ってて、って言ってくれたし。
気付くと、液晶画面は既に暗くなっていたので、私はケータイを閉じた。