――あ、降りなくちゃ。

電車の中でも駅のホームでも、自分の降りる駅がアナウンスされていた。
気づいた時には、電車のドアは音を立てて閉まっていた。


――降り損ねちゃった。


乗り越してしまったので、次の駅まで行くしかない。
その間、更にもう一度、秦野くんからのメールを読み返すことにした。


『今日はありがとう

ノート書いてもらってすごく助かりました。
あと、メモ読みました。

藤沢のことを寂しがらせてしまって、
悪かったと思ってる。
そんなつもりはなかった。
ほんとにごめん。

藤沢が望むなら、
俺も藤沢とまた話したいです。』



これは、私、嫌われてないよね。
話したいって、書いてあるもんね。
避けられてるんじゃなかったってことだよね。

そんなことをぐるぐる考えながら、
今度は乗り過ごさないように、次の駅でちゃんと降りた。