好意には甘えたいけど、でも、
俺なんかのために手間を掛けさせるのも悪い気が……
と、抱きついている祐一が、こめかみにグーでグリグリと攻めてきた。
「いてぇいてぇ」
「なら言うこと聞け」
否応なしに、バッグから英語のノートを取り出すことになった。
そしてそれを藤沢に渡しながら、頭を下げる。
「ほんとに申し訳ないけど、よろしくお願いします」
藤沢は明るい口調で、
「困った時はお互いさまだし、気にしないで」
と、ノートを受け取って自分の席に戻っていく。
「ありがとう」
俺は藤沢の背中に向かって、小さくお礼を言った。