「はい、数学のノート。次は英語、出してね」

一時間目が終わると、藤沢がまた俺の席までやってきて、書いたノートを渡してくれた。


――って、次の時間もなのか?


「いや、悪いから、俺、自分で」
毎時間頼るのも、と思って、藤沢に辞退を申し出てみた、と同時に。

「康太ぁ。遠慮すんなよぉ」
俺の真上で、祐一の間延びした声がした。
祐一のヤツ、いつの間に。

……っていう表情で、振り向いてしまったらしく、

「何だよ、来ちゃ悪いかぁ」
背中から祐一に抱きつかれて文句を言われた。

「そうは言ってねーけど」

「素直に茜ちゃんの申し出を受けやがれ」
祐一が耳元で、少し声のトーンを落として言う。