「やっぱ、藤沢って、すげーや」
今日一日を終えての感想は、このひと言に尽きる。
かわいくて、かっこよくて、強くて、足が速くて、かわいくて、強くて、……
とにかく、すごいヤツだ。
和解の握手は、してもらえた。
だけど。
彼女には、かなわない。
何もかも追いつけない。
初めて手を握ったけど。
俺から手を差し出して、藤沢は俺の手を取ってくれたけど。
謝らなくちゃ、って思いがあったから、手を取ってくれたんじゃないだろうか。
俺の両手で包み込めそうなくらい小さな、藤沢の右手。
その手を、俺のほうに引き寄せてもいいのだろうか。
俺じゃない誰かの方が、
藤沢にはふさわしいんじゃないだろうか。
俺では、藤沢の足手まといになってしまう。