「……心愛」


やっぱり心愛だったか。
俺が心愛を間違えるはずがないのだがな。


「…零さん」


振り返った心愛を、俺は思わず抱き締めた。

…もう、離さない。

たとえ心愛が嫌がっても、もう遅い…。離してやるものか。
俺は…もう心愛が…。


心愛が俺の腕の中で俺を見上げた。

かなり驚いた顔だ。
…だがいつもみたいに茹で蛸にはなっていない、冷静な心愛。


…違和感。