別れる間際。




「よし、今日はこんな感じだよね。明日は大丈夫っ」




あたしたちは手を離した。



まだ少しだけ温もりが残ってるなぁ。



なんかもうちょっとだけ手繋いでたいかも。




「どした?」



「へっ?な、なんもないっ」






うわ、顔赤くないかな?





「そっか。じゃあまた明日な」



「うん、頑張ろうね」




つぅに顔が赤いことを気づかれないようにさっさと家に帰る道を歩いた。




ベシッ。



「いたっ…」




後頭部に何やら固いものが当たった。



足下に落ちたそれを拾おうとすると…。



これは石?



「それ、俺の宝物。明日だけそれ貸すよ」




「明日こそつぅが持つもんじゃないの?」



「いいんだよ、逆にそっちのほうが俺は助かるんだ」









変なの…。



「ん、分かった」



「おう、じゃあな」




つぅはダッシュであたしと正反対の方向に消えていった。





家に帰り、つぅから借りた石を見た。



普通の石だが、直径三cmで丸っぽくツルツルしている。



「ふむ、確かに宝物にしたくなる石だ」




一人で納得してる自分が少し悲しく感じるのは気のせい?





ところで、つぅは自分でやったことに違和感を持っているだろうか。



一つ目は宝物を平気で投げたこと。


二つ目はいくら小さめとはいえ、石を人の後頭部に投げたらかなり危険(特に命)だということに。




「早くお風呂入ろうっと」




あまり深く考えるのは面倒くさいのでとりあえずお風呂に入る自分だった。