……が、
『何だあれ?』
回りの風景や、公園の周りの低い壁が途切れていることから、そこが公園の出口に違いはなかった。
しかし何故かそこには…
…扉があった。
扉の前に来ると、鈴の音が止んだ。
まるで大地をこの扉の前に導くために鳴らしていたみたいだ。
その扉は古くて薄汚れ、全体的に赤かったが、扉の取手や細部は木で出来ており、彩色が細かくて高そうだった。
前に通った時はこんな扉はなかった。
誰かがイタズラで置いてったのか?
あまり近づきたくなかったが、この扉が公園の出口にピッタリ収まっているので、扉を通るしかなさそうだった。
ソーッと取手を引っ張ってみると、扉は簡単に開いた。
ゴクリと唾を飲み、ゆっくりと扉をくぐった。
………何も起きない。
回りを見渡してみた。
得に変わったこともなく、扉もそのままだ。
『…ったく、くだらないいたずらだ』
怖がっていた自分を恥ずかしく思い、大地は強がった言葉をはいて家に急いだ。
…大地が去った後、風が吹くと扉はまるで砂山が崩れるように消えていった。