―と、急に腕を掴まれた。


少し驚いて腕を掴んだ主を見ると、青くなって目に涙を浮かべている山城がいた。


「お前もこの話をするつもりじゃなかったのか?」


山城は震えながら、首をすごい勢いで左右に振った。


「…だいたい同じ話だけど、ここまで詳しくは…」


…コイツが一番怖がってるじゃね―か…。

確かに本当にあったら怖いが、やはりお化けっていうのが…。

その女の子は白昼夢でも見たんだろう。


ここで早苗が叫び声を上げる。

「あ―山城!!何くっついてるんのよ!!離れなさいよ!!」

「なんだよ―早苗ちゃんには関係ないじゃない―」

早苗が山城を俺の腕から話そ憂とする。

両方ともスゴイ力だ。

腕がもげる…!!

依然言い争って俺から離れない二人を見て呆れていると、祐樹が俺の肩にポンッと手を置き、「いや~ホント大地はモテモテだな~羨ましいぞ☆」

明るい口調とは裏腹に、肩に乗った手に力が込められる。

痛い。


――そんなこんなで今日もいつもと同じ平和な日になるとこの時の俺は思っていた。


あれに出会うまでは―…。