「それ、本当の話よ」

気がつくと早苗が俺の背後に立って、俺の椅子を押さえていた。

しまった。逃げられない。


「…今回は私の呼びかけを無視したことは許してあげる。でも次やったら許さないから…」

重低音で耳元で言われる。
ゆっくりと早苗ね顔を見ると顔が般若に変わっている。


怖い。

「早苗ちゃ―ん♪♪今日も会えて嬉しいよ―☆」

祐樹が目を輝かせながら早苗に抱き着こうとするが、早苗は軽くそれをよけて話を続行する。

「このあいだ行方不明になったこの学校の生徒の名前は吉田 光ちゃん、…私の友達よ。」


ふざけていた空気が変わる。

早苗が話を続ける。

「光ちゃんが行方不明になる前日の夕方、彼女を見た子がいるの」
「その子が光ちゃんを最後に見たのは夕方の公園。光ちゃんは公園の出口に立っていた赤い扉の中に入って消えたそうよ。」
「赤い扉…?」

祐樹が聞く。

「えぇ。その時はなぜか公園の出口ピッタリに赤い扉があったそうよ。光ちゃんが消えたことに驚いてその子が走って行った時には砂のように消えてなくなったみたいだけど」

…。

話終わった後の静寂を祐樹が破った。



「コエ~!!」


祐樹がバタバタとはしゃぐ。

「お前もお化けなんて信じてるのか?」

「俺は早苗ちゃんの言うことなら何でも信じるぜ~☆」

…大丈夫かコイツ。