裁判の日がやって来た。
歴代最強の四聖官・サイ賢者の罪が問われる歴史的な日。
和の国最大の裁判所には、各国の重鎮が軒並み顔を揃えている。
その中にはケイとエクターもあり、鉄血の十三騎士のメンバーが何人か見受けられる。
アグロヴァル・アレミラ・ボールス。オレオは知らぬが、サイと直接戦ったメンバーだ。
不測の事態が起きた時、彼らにはその場での“処置”を許可されている。
それはオレオも例外ではなく、オレオを含めた彼らがこの裁判に呼ばれたのは、判決の動向を見守るのではなく、処置という意味合いが強かった。
壇上にはサイの姿。
四聖官の黒いローブを纏い、普段は眼深く被っているフードが外されている。
朱色に染まった赤髪は周囲の人々の視線を釘告げにし、初めて公の場に晒された顔は氷のように冷たく無表情。
両腕には手錠がかけられているが、あれは最早形だけ。
すでに昨晩、サイの手によってあの手錠は外されている。