「はぁあああっ!」


叫び声をあげながら助走を付け跳びかかり、落下の速度を付加させて黒刀を振り下ろす。


それでも特殊な結界に刀身は弾かれ、オレオの身体は無様にも床に崩れ落ちる。


ゆっくりと立ち上がるが、膝が震え疲労の色は隠せない。


何度も何度も結界を破ろうと試みるが、傷一つ与えることが出来ずにいた。


勇者体質のオレオが疲労するということは基本的にはありえない。


それほど強力な一撃を何度もぶつけてはいるが、突破口を見出せずにいた。


髪は汗で濡れ、腕の感覚はもうほとんどない。


強度が売りの愛刀の刀身にも、僅かだがヒビが生じている。


「クソッ……!」


悔しさに奥歯を噛みしめる。


魔王はその光景は静観し、優雅に紅茶をすすっていた。