イアンはほくそ笑む。


「喪失魔術“死者蘇生”を応用すれば、こんなことも出来るのだよ」


魔力の渦はより一層強まり、瞼をも通過するコバルトブルーの輝きがイアンを中心に放たれる。


光の渦は凄まじく、腕で視界を覆うサイ。


尋常では魔力の流れを肌で感じ取り、眉をしかめる。


自身も喪失魔術を保有しているサイ賢者。


この感じは間違いなく喪失魔術であるのだが、妙な違和感を覚える。


喪失魔術にしては魔力が弱い。出力を押さえているのか?


一般魔術師からしたら、違いなど感じ取れぬほどの高出力な魔力。


僅かな違いを感じ取れるサイはさすが四聖官といったところだろうが、気味が悪いと彼は思う。


コバルトブルーの渦が徐々に晴れる。


腕を外し視界を得ると、渦の中心に佇む人物を凝視する。