死屍累々とはこの状況を指すのだろうか。
分厚い雲に覆われているが、不毛の大地にひれ伏す複数の人影が確認できる。
周囲には砂塵にまみれ、薄らとだが血の匂いが漂う。
その中心に立つ人物は、僅かだが肩を小刻みに揺らしながら、足元に転がるアレミラの右腕を踏みつけた。
「あぁぁぁあっ!」
鈍い音がここまで届く。これであの紅蓮のシールドは使えまい。
悲鳴を上げてぐったりと横たわるアレミラ。
ケイは視線を上げて目の前の人物に微笑みかける。
一歩一歩近づいてくる相手に、大剣を地面に突き刺し辛うじて地に足をつけているアグロも、息を切らしながらだが口の両端を釣り上げた。
十対一という圧倒的に不利な状況下にも関わらず、今この土地に立っているのはアグロとサイの二人のみ。
とはいえ歴代最強と言わるケイも、魔力をかなり浪費しているのか、その頬笑みも強がっているようにしか感じられなかった。