途端に怪訝な顔つきになるが、火柱から飛び出した人物を確認すると、表情は僅かだが和らいだ。


「無事の様だな」


アグロは頷くと、ボールスの背後に立つアレミラに目配せする。


サイの攻撃を受け続けていたアレミラだが、外傷は見当たらない。


ほっと一安心すると、少し焼け焦げた服の裾を簡単に手で払った。


あれだけの業火の中で衣服が焦げる程度とは。退魔の波動が如何に優れた能力であるか明白である。


火柱に目をやる。


ボールスが放つ上位魔法。大抵の魔物や術者がまともに喰らえばひとたまりもないが、何分相手は四聖官。この攻撃で決着はつかないだろう。


せめて火傷の一つや二つはしてくれよ……。


心の中で呟くと、燃え盛る炎は一瞬にして飛び散り消えた。


内側から巨大なエネルギーを当てられたのか、爆風が外に向かって走り火の粉を三人に浴びせる。