転送先はオレオも良く知る、軍の格納庫だった。
軍事用の装甲車両が並ぶ格納庫では、数人の兵士がチラホラと見受けられる。
突如現れた珍客に動揺しているのか、皆口をあんぐりと開けたまま三人に視線を送っていた。
けれどオレオの姿を確認すると、すぐに真剣な面持ちに変わった。
「ここは……格納庫か」
辺りを伺い自分がアモール帝国に到着したことを確認する。
帝都には事前に転送魔法の魔法陣を展開していたが、国と国との長距離転送は魔法陣の補助を使っても難しい。
それをほんの一瞬で成し遂げたアモスの力量は、十二分称賛に値する。
一先ずケイに挨拶しよう。もしかしたら色々と手伝ってくれるかも知れないし。
淡い期待を抱きながら記憶を辿りにケイの書斎へ足を進めようとした刹那……。
ガチャッと鉄の音がする。
周りの兵士が手に短銃を手にし、その銃口をオレオ達に向けてきたのだ。