マリがコーズの遺体と対面したのは、翌日の昼過ぎだった。
棺の中には白装束を身に纏った真っ白な肉体と、白い百合の花が所狭しと敷き詰められている。
眠っているような安らかな顔つきからは、とても死んでいるようには思えない。
だが頬に触れると体温は氷のように冷たく、それが魂の抜け殻であることを無情にも証明させた。
命の温もりは微塵も感じない。
嗚呼、本当に死んでるんだ。
最初に聞いた時はなにかの冗談かと思って信じはしなかった。
だがこうして目の前に死体が置かれている。
突き付けられた現実に思考が追いついてこない。
否、思考を働かせていないのだ。
余りにも辛い現実に、考えるという行為を拒否している。
ただの防衛反応だ。自我を保つため、冷静であるかのように振る舞っているだけ。