滴り落ちる血液は、足元を濡らし血の池を作っている。


腹部を簡単に貫いた刃は、人工太陽に反射して怪しく煌めく。


息苦しくなり咳き込むと、空気と一緒に血が飛び出した。


剣が静かに抜かれると、刀傷から血が止めどなく溢れだす。


傷口に手を当てて事の重大さを理解すると、途端に力が抜けて身体は仰向けに倒れた。


「コーズ!」


エクターは倒れる身体を支えると、ゆっくりと地面に寝かせる。


イクトの剣がエクターを捉える寸前に、コーズは咄嗟に二人の間に飛び出し、変わりに刃を受けたのだ。


急所は僅かに逸れたがこの出血量。すぐに手当てをしなければ命にかかわる。


だが敵は待ってくれなどしない。


イクトは下衆な笑みを浮かべながら、剣を振り上げる。


魔力を失った少年に重症の青年。どう足掻こうが逃げられない。