「反則だ」
酒を片手に何の脈力もなくそう告げるコーズに、マリはなんのことかわからず小首を傾げた。
救出作戦は明日明朝に決行。
三人は客人用の一室を与えられ、今宵はこの部屋で過ごすことになった。
牢獄生活からは無事脱出したが、不法入国者というレッテルはまだ取り下げられたわけではなく、部屋の外には二人の見張りが立って下り、事実上の軟禁状態であった。
2LDKの大きな部屋でなんら問題はないのだが、やはり拘束されていると思うと良い気分はしない。
幸い冷蔵庫には多くの食材やら飲み物があったので、コーズは溜まったストレスを飲み食いによって発散させていた。
「あんな強いのにNO.Ⅸとか絶対嘘だ。ていうかなんで下位メンバーのあいつが軍の最高責任者なんだ? 普通NO.Ⅰの一番強い奴がそういう役職につくだろ」
乾き物をムシャムシャと噛み砕き、ググッとワインを飲み干すコーズ。
まるでおっさんだなと思いながら、マリはソファで寝息を立てているオレオに毛布をかけてやった。